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台風だけじゃない!タワーマンションに影響を与える真の問題点とは?

台風だけじゃない!タワーマンションに影響を与える真の問題点とは?

2019年に発生した台風19号の影響により、タワーマンションに対する信頼性が揺らいでいる。

武蔵小杉のタワーマンションでは停電によって断水やエレベーター停止が発生し、世間の注目を集めた。

タワーマンションの上層階は1億円を超す物件も多く、セレブが住む住宅にも被害が及んだことから、タワーマンションの資産価値を疑問視する人も増えているようだ。

では、タワーマンションの真の資産価値とは、本当のところどうなのであろうか。

そこで今回の記事ではタワーマンションの資産価値について解説をしていきたい。

タワーマンションは停電に弱い

台風19号では、奇しくも広範囲にわたる停電が生じた。

停電が生じると、タワーマンションでは、「断水」と「エレベーター停止」の2つが発生するため、タワーマンションの脆弱性が顕在化する。

台風のような被害では、水道管が破裂するようなことはないので、ライフラインとしての水道は正常なままであることが多い。

しかしながら、タワーマンションは電力によって水をポンプアップする必要があるため、停電は断水を引き起こしてしまう原因となる。

停電の場合、周辺の戸建住宅では断水の被害はなくても、タワーマンションだけ局所的に断水してしまうことが起こり得るのだ。

また、エレベーター停止もタワーマンション固有の問題といえる。

15階程度のマンションであれば、エレベーターが停止しても自力で行き来できる人は多く、大きな問題とはならない。

それに反して、タワーマンションでは40階や50階といった高層階もあるため、エレベーター停止が死活問題となる。

「断水」と「エレベーター停止」は、タワーマンションならではの弱点であり、この2つは「停電」によってもたらされた被害である。

タワーマンションはそもそも災害に強い

一方で、タワーマンションは元々、災害に強い建物と考えられている。

ここでいう災害とは、地震による被害だ。

そもそも日本の建築基準法は地震や火災の災害から住民を守ることを重視しており、停電から守ることを重視しているわけではない。

日本国内においては高さが170mを超えるような超高層タワーマンションは、1998年以降に建築されている物件が多い。

これは1997年に建築基準法等が一部規制緩和されたことがきっかけとなっている。

現行の新耐震基準と呼ばれる建物は、1981年(昭和56年)6月1日以降に建築確認申請を通った建物であることから、超高層タワーマンションは新耐震基準を満たしている建物ばかりだ。

また、タワーマンションは免震構造を採用している物件も多い。

免震構造とは、建物の基礎部分に免震ゴムダンパーを設け、建物の揺れを制御する構造である。

免震構造は最低限度の建築基準法の耐震性を上回る性能を有しており、最高グレードの耐震性だ。

ここで、大規模地震が発生した際のライフラインの復旧日数について、知っておきたい数字がある。

阪神淡路大震災が発生したときは、兵庫県内におけるライフラインの復旧日数は、電気が6日、ガスが84日、水道が90日となっている。(神戸新聞NEXT(https://www.kobe-np.co.jp/rentoku/sinsai/graph/p3.shtml)より)

しかも電気については停電した260万戸のうち、翌日には220万戸(全体の約85%)、翌々日には248万戸(全体の約95%)が復旧している。

電気に関しては、2日目にはほとんどの世帯で回復していることになる。

それに対して他のライフラインの2日目の復旧状況は、ガスがわずか3%、水道は21%しか復旧していない。

ガスや水道は、供給管が破壊されてしまうと復旧までに多くの時間がかかるのだ。

ライフラインの中で電気の復旧が非常に早いということは、割と広く知られている。

阪神淡路大震災の教訓から、オール電化住宅が流行ったのも災害時に電気が最も復旧が早いからだ。

地震時においては、電気の復旧が早いことを考慮すると、地震に強いタワーマンションは基本的に災害に強い建物といえる。

大規模地震が発生しても、タワーマンションは崩れることなく、2日後には電気も通っているだろうというのが設計の前提となっているのだ。

タワーマンションは台風による停電被害で騒がれてしまったが、決して災害に弱い建物というわけではない。

台風による停電の問題は、タワーマンションというよりも、むしろ電力会社の問題といえる。

電力会社の台風対策が進めば自然とタワーマンションの停電に対する脆弱性は改善していくものと考えて良いだろう。

タワーマンションの問題は建て替えがほぼ不可能ということ

タワーマンションは台風被害によって騒がれたが、実はタワーマンションにはもっと根深い問題が存在する。

それは、タワーマンションは建て替えがほぼ不可能であるということだ。

元々、全てのマンションは建て替えが難しいとされている。

マンションの建て替えには原則として区分所有者の5分の4以上の同意が必要だからだ。

ただし、一部のマンションでは建て替えに成功しているマンションもある。

それは、マンション敷地に容積率が余っている物件が該当する。

容積率とは、延床面積の敷地面積に対する割合である。

容積率が高いほど、高い建物が建てられることになる。

一部の古いマンションでは、容積率が指定される前から建っていたマンションがあり、後から十分な容積率が指定されてことで容積率が余った状態の物件となっている。

このような敷地のマンションは、建て替えることによって、今のマンションよりも大きなマンションを建てることができるのだ。

建て替えで今のマンションよりも大きくなることで、新たに分譲できる部屋ができる。

その部屋を分譲することで建て替え資金に充てることが可能だ。

容積率が余っているマンションは、建て替えることによって新たな資金を生み出すことができるため、区分所有者の経済的な負担が少ない。

よって、5分の4以上の同意が得やすいのだ。

一方で、現存する多くのタワーマンションは新築時に容積率の割増ボーナスをもらっていることが多い。

総合設計制度等の制度を用いることで、元々指定されている容積率よりも高い容積率を使い大きな建物を作っているのだ。

多くのタワーマンションは指定された容積率よりも高い容積率を使って建てていることから、建て替えに際し容積率か不足している状態となっている。

つまり、仮に建て替えた場合、現在と同じ規模の建物が建てられる保証はないのだ。

タワーマンションはただでさえ区分所有者が多いため、5分の4以上の同意を得ることは難しいとされている。

それに加えて、同規模のマンションが建て替えられないとすると、同意を得ることはますます困難となる。

タワーマンションは半永久的に建て替えられないと考えられており、100年後には幽霊タワーマンションが乱立していることが予想されているのだ。

タワーマンションの真の問題は、この「建て替えられない」という部分にある。

戸建てのように建て替えることができず、朽ち果てても何もできない。

タワーマンションは次世代が引き継ぎたくない資産にもなり得るため、タワーマンションは物件が売れるうちに売却し、逃げ切ることも考えていかなければならない。

出口のないタワーマンションは、将来的に大きく資産価値を落とすことになる。

タワーマンションは、価値あるうちに売却していくことも視野に入れるべきなのだ。

まとめ

以上、タワーマンションの資産価値について解説してきた。

タワーマンションの停電に対する脆弱性は表面的なデメリットに過ぎない。

むしろ本質的な問題は、建て替えできないという致命的な部分にある。

タワーマンションは、次世代へ引き継げる資産とは言い難い部分があり、タイミングを見て売却していくことも検討に入れた方が良いだろう。

執筆者情報

株式会社グロープロフィット株式会社グロープロフィット代表取締役竹内 英二
不動産鑑定士・宅地建物取引士・中小企業診断士

大手ディベロッパーにて、不動産鑑定や開発用地の仕入れ担当を11年間に渡り従事。オフィスビル・賃貸マンション等の開発も行っていたことから、土地活用・不動産投資の分野に強い。
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