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TATERUに業務停止命令も。投資家は何に気をつけるべきなのか

TATERUに業務停止命令も。投資家は何に気をつけるべきなのか

6月21日に国土交通省から株式会社TATERUに対し、宅地建物取引業法に基づく聴聞会が開かれました。

その結果、業務停止の非常に厳しい処分がくだされる可能性に言及する報道が行われています。業務停止命令が確定してしまえば、最悪の場合、TATERUには倒産のリスクが現実的なものになります。

では、なぜ、TATERUは厳しい処分を受けることになったのか、そして、このような不動産デベロッパーの事業上のリスクを避けるために、投資家はどこに気をつけなければいけないのか、お伝えしていきます。

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TATERUの直接の問題は、不正融資問題

TATERUがこれほど大きく取り上げられるようになったきっかけは、2018年8月に報道された西京銀行による投資家への不正融資問題です。

TATERUはアパート開発事業を主力事業とし、個人投資家に対して建築・管理・運営を含めた新築アパートの販売を行っていました。 アパートの購入にさいし、西京銀行の融資をTATERUが斡旋していたのですが、銀行からの融資を受けるために投資家の属性を改ざんしていたことが明らかになったのです。

金融機関の融資を受ける際、特に個人投資家の属性は非常に重視されます。個人の年収はどの程度なのか、どれくらいの預金を持っているのか、過去に信用情報の毀損があったのか、などについて金融機関はリスクを回避するために細かくチェックします。

しかし、TATERUは個人投資家を丸め込み、金融機関に提出する書類を改ざんすることによって、西京銀行からの融資を受けさせていたのです。

西京銀行としては到底看過できる問題ではなく、問題が発覚した後にTATERUの個人向け融資の斡旋を完全に拒否し、今年5月にはTATERUに限らず、個人向け不動産投資に関する融資を打切る発表を行っています。

金融機関の不動産投資向けローンの融資問題は、西京銀行だけではない

西京銀行の問題が大きく取り上げられる前に、不動産業界を騒がせたのはスルガ銀行です。スルガ銀行は、かぼちゃの馬車というシェアハウスを販売していたスマートデイズ社を通じ、専属的に個人投資家への融資を行っていました。

ここでも個人投資家の融資を通すために、スルガ銀行の融資担当者とスマートデイズ社の営業マンが結託して個人投資家の属性を改ざんし、無理な融資を行っていたのです。

しかし結果として、かぼちゃの馬車の運営が破綻して、個人投資家は大きな借金を抱え込むことになりました。現在も投資家たちによるスルガ銀行への訴訟は続いており、スルガ銀行の株価は最高値と比較して1/5以下になるなど、非常に大きな落ち込みを見せています。

西京銀行としては、同様の現象が起こることをおそれ、早めに厳正な措置を取ったと言えるでしょう。

TATERUへの処分は、非常に厳しいものと言える

今回の事件では、TATERUに対して営業停止処分が下される可能性があります。(編集部注:6月28日付で国交省より7月12日から7日間宅地建物取引業法に基づく業務停止命令が出されました

これは不動産アパートの販売事業だけではなく、不動産物件の管理、投資家へのコンサルティングといった一切の業務を一時的に停止しなければいけない処分です。

例えば、今回の問題が取り上げられる原因になったのは、あくまでも新築アパートの販売時の融資であり、他の事業に対して問題があったわけではありません。

TATERUのアパートを購入した投資家からは、「家賃が高い」「管理費が高い」「他の事業者に業務委託することが契約上できなかった」などの不満の声は見受けられますが、何もTATERUに限ったことではありません。

不動産開発を行う業者においては、こういった数々の業務を抱え込むことによって自社の売上を増やすことはよくあります。

その中でTATERUに対し、全ての事業に営業停止処分が下る場合、収益の源になる事業に一定期間取組めなくなり、売上が上がらなくなってしまいます。

TATERUの2017年12月と2018年12月期の売り上げですが、売上は791億円と増加しましたが、営業利益は87%ダウンの7.2億円でした。黒字化は達成しているものの、2019年12月期に関しては処分の内容が明らかになっていないせいもありますが、全く見通しが立っていない状況です。

TATERUの2017年12月と2018年12月期の売り上げですが、売上は791億円と増加しましたが、営業利益は87%ダウンの7.2億円でした。黒字化は達成しているものの、2019年12月期に関しては処分の内容が明らかになっていないせいもありますが、全く見通しが立っていない状況です。

そして、TATERUのほうでは、西京銀行からの融資が受けられなくなったことで、アパート事業がすでに停止状態に追い込まれています。その結果、113億円にものぼるアパート用の用地を自社で買い取ることになり、業績に大きな影響を及ぼすのは必至です。

TATERUは、国土交通省の調査結果に対して全面的に否を認めたものの、代理弁護人を通じて以下のような見解を同時に発表しています。

「まずは業務停止という処分が非常に重いということ。今年2月には金融機関に対し、同様の預金通帳残高の改ざんで処分を受けたフューチャーイノベーションという会社がありました。その会社と比べてもTATERUに対する処分は大変重いものだ」

「TATERUは顧客からの要望があれば、アパートの買取も行なっていて、できるだけ損失を穴埋めするように努めているということです。かぼちゃの馬車と違い、直接の被害者は発生しておらず、投資家からも訴訟を受けているわけではない。テレビCMを放送していたほどの地名度がある企業だからこそ、過剰に取り上げられている。業務内容に対する処分は、知名度に比例しているだけではないか」

「全ての業務が停止処分になる場合、TATERUが管理業務を行っているアパートの維持・管理が困難になってしまう」

TATERUは、全国に2,000人のオーナーを抱え、2万5千戸のアパートの管理・運営業務を行っています。

業務停止処分がくだされると、その期間はアパートの管理が滞るため、結果的にアパートオーナーのリスクと不利益につながるという主張です。 TATERUに関する処分の内容は、まだ発表されていませんが、どれほど厳しい処分が最終的に下されるのか、そして、TATERUを通じてアパートを建てた方が今後どうなるのか、これから先は注目されます。

TATERUの今後

2017年から2019年にかけ、かぼちゃの馬車の運営を行っていたスマートデイズ社と融資を行っていたスルガ銀行、そして、全国に建築基準法に適合していないアパートを建てていたことが発覚したレオパレス21。さらに、TATERUなどの大手不動産デベロッパーが、金融機関との提携で不動産投資家をターゲットにした不正融資などを多数行っていたことが明らかになっています。

この発表の影響で、一時期は2,000円を超えていたTATERUの株価は1/10以下に下落し、現在では200円を割っています。

先に挙げたように、2019年12月期の決算のめども立たない状況下にありますが、もし、全面的に営業停止処分が下れば、赤字への転落は免れないところでしょう。

TATERUの今後は投資家からの信用の回復に努めていくことになりますが、不正融資の斡旋を行っていたことで金融機関からの信用を失っているため、容易なものではありません。

いっぽうで、西京銀行では個人投資家に対し、「TATERU社以外の管理会社を利用することになっても、融資の条件は変わりません。他の管理会社を探してアパートの運営を続けていただければ、幸いです」との旨を伝えたとされています。金融機関としても、融資先の投資家の運営が立ち行かなくなって自己破産になってしまっては、資金を回収できなくなります。ある程度は自行がリスクを負う形で、投資家への支援を行っている状況です。

また、TATERUは、IoT技術を積極的に取り込んだアパートを建築していました。例えば、外にいながら内部の様子がわかる、電化製品を屋外から使うことができるクラウド技術を前面に打ち出していたのです。

しかし、家賃や管理費がその分高くなり、入居者にとってそれほど使い勝手の良い設備ではなかったため、入居率の上昇や家賃の上昇には直接的に繋がっていなかったのです。

それでも、契約上はTATERUの関連会社による管理を外すことができなかったものの、TATERUに営業停止処分がくだれば、必然的に他の管理会社に管理を任せるしかなくなります。違約金などを支払うことなく管理会社を外せるため、投資家の不利益につながるとは限らずしも言えません。

個人投資家に不利なことばかりが起きる状況ではないのですが、管理業務の売上がなくなってしまうと、TATERUにとって売上と利益の大幅な減少は免れません。

あえて希望を見出すとすれば、TATERUのアパート運営自体は、かぼちゃの馬車と違って高い入居率を維持できていた点でしょう。自社の利益ばかりをむやみに追求するのではなく、投資家の視点に立ち、本当に役立つサービスを適正な価格で提供していたのです。これまでに急成長を遂げていたTATERUだけに、信用を取戻す道はまだ残されていると言えるでしょう。

スルガ銀行でもそうですが、売上の急激な上昇の背景には、従業員に対するパワハラや強引な営業などが否めません。特に不動産業界はそのような傾向が強く、内部のパワハラ問題が再び表面化すれば、東証一部上場企業としてのコンプライアンスが厳しく問われることになります。

内部の膿を全て出切るまで、TATERUには自浄作用だけではなく、外部による監視と内部体制の見直し、経営陣の刷新などが求められていくことでしょう。

個人投資家がリスクを避けるには

TATERU、レオパレス21、かぼちゃの馬車などの問題に共通するのは、個人投資家向けの新築アパート投資やシェアハウス投資だった点です。個人投資家がリスクを避けて不動産投資を行っていくために必要なポイントを、改めて確認してみましょう。

安易に新築アパートの運営の話には乗らない

まず、安易に新築アパートの経営の話には乗らないことです。こういった新築アパートは、販売を行う大抵の会社で、サブリース契約をセットでつけています。

不労所得が手に入ることを個人投資家、特に、属性の良いサラリーマンに訴えてきます。しかし、サブリース契約は、徐々に家賃収入が見直されていくものであり、10年後には当初の70%程度にまで収入が落ち込んでしまうこともあります。反面、管理費や修繕費は徐々に増えていき、定期的に発生する大規模な修繕のために高額な費用を支払わなければいけません。 まだ管理内容や費用に不満があったとしても、不動産開発会社を変更することができないなど、大きな枷(かせ)になっています。

アパートを建てた後に付随するサービスの内容が適切なものか、提示されるプランのリターンとリスクが適切なのか、判断してから応じるようにしましょう。

アパートは中古を中心に購入していく

新築アパートはデベロッパーの利益が上乗せされているので、建築費が非常に割高になっています。それに比べ、中古アパートはデベロッパーの利益はすでに消えていますし、10年・20年と経過していれば、法定耐用年数が減っているため、建物の価値は大幅に下落しています。

5,000万円かけて建てたアパートも築15年もすれば、価値が2,000万円以下になることもあるのです。

土地の価値は単純に経年で下落するのではなく、逆に上昇している場合もあります。そのため、効率の良い不動産投資を行っていくには、いかに建物を安く購入するかが鍵となってきます。

業者の利益込みの新築アパートを購入するのではなく、すでに誰かが建てたアパートを購入することで、効率的な投資を行っていきましょう。

運営リスクの高いアパートよりも、マンションへの投資を中心に行う

それでも、最近の中古の木造アパートには、金融機関は積極的な融資を行いません。西京銀行は、完全に個人向けアパート投資への融資を中止していますし、他の金融機関、特に地方銀行は、個人投資家向けの融資には及び腰です。

また、安い木造アパートばかりを購入していると、立地が地方中心になってしまいます。入居率の確保が非常に難しくなり、空室に悩まされることもあります。

それよりも、融資がつきやすく、確実に家賃収入が見込める都心のマンションへの投資を検討したほうが、手間はかからず、結果的には不動産事業の拡大が容易になります。

都心のマンションは価格の上昇が進んでいますが、その分、土地の価格の上昇も同時に進行しているため、5年後・10年後の売却のさいには、購入時の価格以上になっているケースも決して珍しくありません。 家賃収入で毎年4%程度の利回りを確保しつつ、5年後に価格が10%上昇した時点で売ることができれば、最終的な利回りは6%になります。表面利回りが20%の中古アパートを購入しても、ほとんど入居者が入らない状態で運営することになるため、修繕費ばかりが嵩むことも多いです。それよりも、マンション経営を手堅く行うことを検討してみましょう。

融資は複数の金融機関に打診する

また、融資を受けるときには、デベロッパーが斡旋する金融機関を利用するだけではなく、他の金融機関にも必ず打診してみましょう。書類を改ざんすることの異常性に気づかないまま、デベロッパーの言いなりになって融資を受けてしまうと、最終的に損をするのは自分です。

他の金融機関から融資を断られ、デベロッパー経由の金融機関のみが融資に前向きな状態は、明らかに異常です。複数の金融機関でNOといわれるような物件はリスクが高く、不動産投資を行っても成功する確率が低い物件であることを意味するのです。 大金を投入するわけですから、色々と意見を聞く、客観的に評価してもらうことが大切です。主観と客観を併せ持ちながら、最終的に判断が下せる知見を持つようにしましょう。

まとめ

ここ数年は、不動産デベロッパーの不祥事が相次いでいます。不祥事が発覚した企業と関与した金融機関は、大幅に株価を下げています。安直な言い方ですが、悪いことをすると、必ず報いを受けるというわけです。

不動産デベロッパーだけではなく、不動産投資家においても同じことです。不正な手段で物件を購入しても発覚すれば、情報化社会では情報がまたたくまに広がり、最終的には自分が損を被ることになります。

今後のTATERUが再生できるかどうかは、個人向け不動産投資業界の未来を占ううえで大きな課題だと言えます。TATERUが再生できずにこのまま倒産するようなことになった場合、個人投資家はより物件の購入が難しくなり、金融機関を開拓していく交渉術も持たなければいけなくなるでしょう。誰しも簡単に、不動産投資ができる時代ではなくなってしまうかもしれません。

しかし、ある意味では、スキルを持った個人投資家にとってチャンスが広がることになります。

今後も積極的に投資を行うためには、他の投資家との差をつける必要があります。不動産デベロッパーの甘い言葉に惑わされず、自分なりに不動産投資に基準を設けて臨むようにしましょう。

執筆者情報

HowMaマガジン 編集部
「不動産の売却」に役立つ情報を発信するHowMaマガジンの編集部です。売却のノウハウや知識はもちろん、誰でも気軽に不動産の売買相場価格をチェックできるサービス「HowMa(ハウマ)」が算出するデータなどもお届けしていきます。
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