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個人向け融資が縮小?融資を受けるにはどうするべきなのか

日本ではここ数年、マイナス金利政策による融資金利の低下もあって、個人投資家の不動産投資ブームが過熱していました。マイナス金利政策は住宅ローンの金利の低下を招いただけではなく、アパートやマンションなど、投資用ローンの金利の低下も招きました。

リーマンショックの傷が癒えたことによって、不動産物件の価格自体は、アベノミクス効果が発揮されてきた2012年前後から徐々に上昇していました。また、金利が大きく下がったことによって、不動産の価格の上昇をも吸収したのです。その結果、不動産自体の価格は上がっていても、金利まで含めた購入価格は総じて安くなる状態が続いていたのです。

しかし、2017年のスルガ銀行の不正融資問題の発覚以降、個人向け投資家への融資は徐々に抑制されつつあります。

なぜそうなってしまったのでしょうか。

そして、個人投資家が融資を受けるにはどうしたらいいかを考えてみましょう。

きっかけはスルガ銀行の不正融資問題

2016~2017年と、個人向けの融資は金融庁の調査のデータでも拡大していました。しかし、2017年にスマートデイズ社が提供した女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」のサブリース問題と、かぼちゃの馬車の建築におけるスルガ銀行の不正融資問題が明らかになったことから、個人向け融資が縮小する大きなきっかけになりました。

この問題のどの部分が特に影響を与えたのでしょうか。

スマートデイズ社は個人投資家に対し、「女性向けシェアハウスを購入すれば、サブリース契約を結ぶことになり、年利8%の安定した収入を毎年提供する」ことを謳っていました。建築費は1~2億円と高額だったものの、スルガ銀行が4~5%のフルローンで融資。「比較的高めの金利で融資を受けても8%の年利が得られるため、毎年数百万円の不労所得が手に入る」というセールストークを行っていたのです。

しかし、かぼちゃの馬車を購入した個人投資家に対する家賃の分配は、わずか数ヶ月でストップ。直後にスマートデイズ社は倒産の憂き目に遭いました。そして、スルガ銀行から高金利で融資を受けた個人投資家は、1億円以上の債務と、貸しにくいシェアハウスだけが残ることになってしまったのです。スルガ銀行は地方銀行の雄とも言われ、個人投資家向けに積極的な融資を行うことによって、2010年前後から営業利益を伸ばしていました。

不動産物件の購入に際して、金融機関ではフルローンによる融資を行わないのが一般的ですが、スルガ銀行は高金利の代わりに、フルローンで融資していたのです。つまり、自己資金をそれほど持たない投資家でも、不動産物件を購入できるスキームを構築していたのです。また、スルガ銀行とスマートデイズ社の関係が調査される中で、書類改ざん問題も発覚しました。スルガ銀行が個人投資家に融資を行う際に、年収や預金残高などの書類の改ざんを行うと同時に、同行の営業担当者が融資の審査担当者に圧力をかけ、無理に審査を通していたのです。

さらには、社内でのパワハラ問題、また、投資家に対してデート商法などを行っていたことなど、様々な問題が明らかになっています。現在のスルガ銀行は金融庁からの指導で個人投資家向けの融資を禁止され、創業者一族は経営陣から退任。他の銀行が吸収合併するとの噂も立っています。

積極的な融資でスルガ銀行が業績を伸ばした裏には、個人投資家に対する不正融資が数多く存在しました。不正の発覚をきっかけに、他の金融機関に対しても金融庁のメスが入るようになったのです。

TATERUと西京銀行でも同様の問題が発生

次に明るみになったのは、関西に本拠地を持つ西京銀行です。西京銀行は大手不動産会社であるインベスターズクラウドの一棟向けアパートを中心に融資を行っていました。

インベスターズクラウドはTATERUというブランド名でプロサッカー選手の本田圭佑氏をイメージキャラクターに起用するなど、2005年の創業からわずかな期間で東証一部に上場し、業績を大きく伸ばしてきたのです。

その背景には、一棟アパートを個人投資家に購入してもらうための積極的な融資があったとみられています。西京銀行でも個人投資家に対し、サブリース契約とセットで一棟アパートを提案。資金調達の手段として、西京銀行からの融資を投資家にすすめていました。

こちらの融資問題に関しては金融機関側ではなく、TATERUを運営するインベスターズクラウドが積極的に書類の改ざんに協力していたとの報道が行われています。個人投資家の融資を通すために虚偽の年収を書かせたり、実際とは異なる預金額や勤務先の勤務年数を記入させたりしたのです。また、違法である二重書類契約を行っていたとの報道も行われています。

また、一棟アパートでサブリース契約を結ぶと同時に、建物の運営期間はTATERUの子会社に管理業務を任せる契約もセットにしていました。このような契約を結ぶことで、TATERUは高額な管理料を取り、安定した収益を確保していたのです。しかし、投資家にとっては管理会社を一方的に決められてしまって、管理会社の能力に不満があっても変更ができないなど、不利益を強いられる可能性が大いにありました。

サブリース契約や家賃保証を謳っていたものの、空室が発生して数ヶ月経ってから初めて家賃保証が発生するなど欠陥のある補償内容で、投資家保護は決して十分なものではありませんでした。

これらの問題が明るみに出たのは2018年9月です。2018年9月以降TATERUは新規アパートの募集を停止して、西京銀行も個人向け一棟アパートの融資を行っていません。そして、2019年5月に西京銀行は、個人向け不動産融資からの撤退を正式に発表しました。

また、TATERUでは、TATERUファンディングという不動産投資型クラウドファンディングを投資家に提供していました。こちらも2018年10月から募集を停止しています。TATERUファンディングでは投資家が不利益をこうむったり、投資や募集のスキームに問題があったりした事例は発覚していません。傷口が広がる前にTATERUが自粛したと考えられます。

スルガ銀行に引き続き西京銀行でも、融資の問題が続々と明るみにされているのです。

業績を伸ばしていた西武信用金庫も金融庁の捜査が入る結果に

スルガ銀行、西京銀行の他に金融庁からの捜査が入った金融機関として、西武信用金庫があります。2018年末に金融庁からの強制調査が西武信用金庫に入り、調査の結果が先日発表されました。

書類改ざんなどを行った形跡が見られましたが、特に大きな問題として取り上げられたのは反社会勢力との交際でした。

近年は暴力団対策法などにより、金融機関は暴力団に対して資金の融資などを行えなくなっています。しかし、西武信用金庫の担当者は、反社会勢力との人間と交際を持つことで融資を通し、資金を提供したと思われる動きを見せました。営業担当者が自分の成績を上げることを目的に、反社会勢力に多額の資金を融資していたのです。

反社会勢力に活動資金を提供することは、社会的な責任を負う金融機関として決して許される行為ではありません。

このような問題が明るみになったことにより、地方銀行などでは融資上のリスクを避けるため、個人投資家に対する融資が引き締められています。

個人投資家向けの融資は縮小。個人投資家が融資を受けるための対策は

利益が出ている地方銀行は、日本ではごくわずかだと言われています。その中でもスルガ銀行はダントツとも言えるほどの営業利益を残していましたが、利益の裏には法令遵守意識に欠けた行為があったことは疑いようがありません。

金融機関としても利益を上げるには積極的に融資しなければいけないのですが、個人向け融資はリスクが高いです。また、金利が下がっていることを考えると、個人向け融資よりも法人向け融資のほうが安全視される傾向が進んでいます。

資金調達が難しくなっている現在、個人投資家は金融機関から資金を調達する方法をどのように考えるべきなのでしょうか。

質の高い区分マンション中心の投資にシフトする

融資が受けられる可能性が最も高い資金調達の方法とは、資産価値が高い都心の区分マンションを購入することです。一棟もの物件を購入しようと思うと、1億円以上の融資を受けなければいけません。個人投資家に対してそれほどの金額の融資を行うことは、金融機関にとってリスクが高く、最近ではなかなか担当者がOKしないでしょう。

しかし、区分マンションであれば、1,000万円台から3,000万円台前半程度の価格で購入できます。2割程度の自己資金を用意して借入金額を2,000万円程度に抑えれば、金融機関はそれほどリスクを懸念せずに融資を行うことができます。

特に都心の区分マンションであれば、現在は地価が上昇傾向にあります。そのため、担保を売却するときも抵当権を行使すれば、融資以上の金額を回収できる可能性が高くなります。まだ都心では単身者世帯に対し、単身者向けマンションの部屋数が圧倒的に足りていません。そもそも空室が発生するリスクが低いエリアですので、融資を受けた人間がしっかりとマンションを運営して利益を上げるのであれば、貸倒れも発生しません。

空室が発生しにくい立地で資産価値が高く、設備などの条件を満たした質の高いマンションを購入すれば、個人投資家でも融資を受けて不動産投資を拡大していくことはまだまだ可能です。

敢えて築古、優れた担保価値を持つ土地を狙う

築古物件には融資がつきにくいと言われますが、それはあくまで不動産の担保としての評価額と借入金額に差がある場合に限られます。

例えば現在は地価が下がっているエリアで中古物件を買うとして、土地の評価額が3,000万円で建物が2,000万円、合計の評価額が5,000万円だったとします。そこで5,000万円の融資を申し込んでも、金融機関としては土地の3,000万円しか評価しません。さらに、土地の価値は下がるものと捉え、2,500万円程度しか融資を行わないかもしれません。

しかし、東京23区内のアパート、特に築30年の中古アパートでは建物の評価額が極端に低いものが見つかります。築30年のアパートの評価額はほぼ0円です。

いっぽう、土地の価格が5,000万円程度であれば、金融機関が土地を評価して5,000万円の融資が受けられる可能性は十分にあります。このことから、売主が築古物件の解体費用を含めて価格を決めることがあります。本来ならば5,000万円の土地であったにもかかわらずに築古の建物が付いていたため、解体費用の500万円を差し引いて4,500万円で売るケースがこれに該当します。そういった非常に古くなっているアパートを購入し、いったん更地にして自分でアパートを建直すなどの方法をとれば、金融機関が土地の部分だけを評価する可能性は十分あるのです。

また、築古物件でも程度によってはまだまだ使えるものもあります。リフォームやリノベーション費用がセットになったローンの融資を金融機関に提案してみましょう。

具体的には、築古物件を入居が見込める物件に再生することを条件に、投資ローンおよびリフォームのローンをひとまとめにして交渉を行い、融資を受けるなどの方法が考えられます。

不動産投資の成否を左右するのは、何よりも立地だと言われます。中古物件を購入するときは建物を見るよりも土地を見て、いくら融資が引っ張れるかを考えるようにしましょう。

収益性の高い物件でリスクをカバーする

もう一つの方法は、収益性が高い物件を購入してリスクをカバーすることです。東京都内ではなかなか見つかりませんが、地方に行けば利回りが20~30%の一棟アパート・一棟マンションが数多く見つかります。なぜそれらの物件にそれほど高い利回りがついているかと言うと、賃貸の需要がなくなった結果、土地と物件の価格自体を下げざるを得なくなったからなのです。

現在はそういった物件には手を出してはいけないと言われます。しかし、入居率が50%でも利回りが20%の物件を購入すれば、年間の利回りは10%になります。投資としては十分な数字です。

購入前にきちんとレントロールを確認して50%程度の入居率が見込める物件であれば、最終的には5~10%台の利回りが狙えます。

収益性が高い物件を購入したいという内容で金融機関に融資を申し込んでみましょう。

金融機関によっては収益性で融資を判断する、いわゆる収益還元法を採用している銀行や会社もあります。

金融機関は各行・各社とも融資の際の審査基準が異なるため、一つの金融機関で審査が通らなくてもそこでめげず、複数の金融機関に審査を申し込んでみましょう。

地元の事情に通じていて、担当者と粘り強い交渉ができる投資家であれば、築古物件でも十分に収益性があることをアピールすることによって融資が受けられるでしょう。

個人向け住宅需要は衰えを知らない

いっぽうで、個人向けの居住用住宅の需要はいっこうに衰えを見せません。都内などの新築マンション・中古マンションの相場を見ても価格は年々上昇傾向にあります。

それだけ需要が高まっていることがわかります。

ただし、一般的な収入のサラリーマンが購入するには価格の面で難しくなっていると言われています。それでも、利便性を考えて都内になんとしてでも住みたいと思う人は多く、東京に人口が流入している昨今の事情を考えれば、個人向け住宅の需要が今後も大きく下がることは考えにくいです。

単身者向けの投資用マンションではなく、ファミリーが住める広さのマンションを所有していれば、しばらくは高値で売りさばくことができるでしょう。

いっぽうで、そういった物件を購入したい人にとっては、値上がりする前にできる限り早めに購入するのが吉だと言えます。投資用ローンを引き締めている金融機関でも、住宅ローンはローリスク・ローリターンで、まだまだ積極的に融資を行っています。

そういった観点に立ったうえで投資用物件を購入するのであれば、住宅ローンが利用できて賃貸物件が所有できる賃貸併用住宅が今後の主流になってくるかもしれません。

賃貸併用住宅の購入には、住宅ローンが利用できます。そのうえ、金利を低く、返済期間を長く設定できるだけではなく、毎月の家賃収入から住宅ローンの返済が可能です。

戸建て・アパート・マンションといった画一的な不動産投資の手法だけではなく、賃貸併用住宅という新しい不動産投資の手法が、これから先はクローズアップされるかもしれません。

執筆者情報

石野 (HowMaマガジン編集部)
HowMaマガジンの編集部のライターです。自分自身もオーナーとして複数の不動産の賃貸経営中。不動産を所有することで培った経験を知識を活かし、不動産売却や不動産投資について情報を発信していきます。
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