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スルガ銀行の不正融資問題は、今後どのように解決されていくのか

スルガ銀行の不正融資問題は、今後どのように解決されていくのか

2018年に発覚した、スルガ銀行の不正融資問題。

元々はスマートデイズ社が開発を行っていた、かぼちゃの馬車という女性専用シェアハウスの建設に伴うものです。

しかし、スマートデイズ社は2018年に倒産。投資家の手元には、スルガ銀行から受けた高金利の融資と、シェアハウスのみが残っている状況です。

その結果、莫大な債務に悩まされている個人投資家が、数多くいるのです。

融資に際して書類の改ざんなどを行っていたスルガ銀行は、金融庁から行政処分を受け、現在では融資業務が停止中となっています。

投資家との問題解決に向け、スルガ銀行と投資家の間でどのような話し合いが現在行われているのか、訴訟を行なっている投資家たちの集いに参加した際の内容をレポートします。

 

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スルガ銀行に下された行政処分の内容は

まず、金融庁からスルガ銀行にくだされた行政処分の内容と、同行の業務のどこに問題があったのかを再チェックしてみましょう。

銀行法第26条第1項に基づく処分が下っている

スルガ銀行は、銀行法第26条第1項に問題があるとして行政処分が下されています。

平成30年10月12日から平成31年4月12日までの半年間、新規の投資用不動産融資の停止、および、自らの居住に当てる部分が建物全体の50%を下回る、新規の住宅ローンについても融資を停止しています。

処分の理由

スルガ銀行が処分を受けた理由は、シェアハウス向け融資及びその他の投資用不動産融資に関する不正行為。

そして、賃料や入居率について実際よりも高く想定した、収益還元法で過大な不動産の評価を行っていた点です。

そして、それに伴い、実態から離れた金額を融資していたのです。

また、不動産関連業者が融資の審査を通すため、さまざまな改ざんを行いました。

具体的には、本来は自己資金を持たない債務者の口座に、あたかも振り込みがあったかのように預金通帳の残高を増やしたり、一定の年収基準を満たすために債務者の所得を過大に申告したりといった内容です。

それだけではなく、売買契約書を二重に作成したことも理由になっています。

その他にも今年に入り、いわゆるデート商法も行っていたという報道もあり、その問題はまだまだ底が見えません。

銀行法第26条第1項については、法令等の遵守に関して銀行員として備えるべき知見を身につけるため、全ての役職員に対して融資業務の研修を行い、健全な企業文化を醸成することをスルガ銀行に指図しています。

そして同時に、各役職員が一定期間、通常業務から完全に離れ、当該研修に専念してその徹底を図ることを指示しています。

具体的にスルガ銀行が改善を求められ、実行しなければいけないのは以下の内容です。

  • 今回の処分を踏まえた経営責任の明確化
  • 法令等遵守に基づく顧客保護及び顧客本位の業務運営体制の確立
  • 反社会勢力の排除に係る管理体制及びマネーロンダリングやテロ資金供与に関わる管理体制の確立
  • 融資審査の管理を含む、信用リスクの管理体制及び内部監査体制の確立
  • 営業用不動産の所有や管理、株式の保有等を行い、創業家の一定下の影響にある企業群との取引を適切に管理する体制の確立
  • シェアハウス向け融資及びその他投資用不動産の融資に際し、金利の引き下げ、返済条件などの見直し、金融ADR等を活用した元本の一部カットなど、個々の債務者に対して適切な対応を行うための体制の確立
  • 上記を着実に実行し、今後の持続可能なビジネスモデルを構築するための経営管理体制の抜本的強化

これらの指導に伴う業務の改善計画は、平成30年11月末までに提出され、遂行されるものとしています

そして、改善計画の実施完了までの間、3か月ごとにその進捗及び改善状況を金融庁に報告します。

改善業務の中には、シェアハウス融資及びアパートやマンションなどの投資用不動産の融資に際し、金利の引き下げや元本のカットなどを行うことを具体的に指示しています。

さらに、問題解決には金融ADRという組織を活用する旨の指示もあります。

このスルガ銀行の融資問題について動いているのが、ADRという組織なのです。

問題となっているのは債務免除益

スルガ銀行に対し、金融庁から直々に債務者の元本カットと金利引き下げの指示が行われているおり、その部分の問題は特に発生していません。

スルガ銀行は現在、大幅に株価が低迷しています。

融資が禁止され、利益を出せない状態であるため、現実的にはいずれ倒産する可能性があります。

しかし、スルガ銀行に預金を預けている人間も多く、スルガ銀行が倒産してしまうと、多くの一般市民に影響が出てしまいます。

スルガ銀行の救済策として、まず、不正融資による問題を解決した上で、他の金融機関との合併が挙がっています。

では、投資家が返せる範囲で金利を大幅に引き下げるか、元本をカットしてしまえば良いと考える人もいるかもしれません。

しかし、元本のカットには、実は大きな問題があるのです。それは債務免除益です。

債務免除益とは

債務超過などに陥った企業が債務の救済措置を受けた場合、会計上では勘定科目として債務免除益を使用します。

また、債務免除益は、資本剰余金もしくは利益として捉える場合があります。

商法上の債務免除は利益とみなし、特別利益に計上することもあるのです。

例えば、1億円の債務を5,000万円にカットし、物件を5,000万円で売却すれば、完済ができるものと考えたとします。

しかし、このカットされた5,000万円の元本は、債務免除益という投資家個人の利益扱いになります。

つまり、5,000万円分の所得税や住民税が課税されてしまいます。法人の場合、法人税が発生してしまうのです。

5,000万円の利益に対する所得税率は45%です。

単純に考えて2,250万円もの所得税が発生するため、今度は債務免除益への課税が債務者の大きな負担になってきます。

自己破産によって借金の返済義務はなくなりますが、税金の返済義務はなくなりません。

そのために債務免除益をどうするのか、今後の話し合いの焦点となってくる可能性があるのです。

債務免除益は金融庁も視野に入れてなかった

この債務免除益については、集いに参加した講師の話によると、金融庁は視野に入れてなかったということです。

金融庁は債務免除益が発生することを考慮せず、元本をカットすれば債務者が救済されるであろうとの見通しを立てていました。

しかし、そこに国税庁から「待った」がかかりました。

債務免除益が発生するため、単純に債務をカットすれば解決するといった状況ではなくなっているのです。

金融庁の目論見では元本をカットし、金融ADRによって解決できる見通しでした。

しかし、そう単純な問題ではなくなったため、金融ADRではなく、不動産のプロである不動産ADRの登場となったのです。

解決は不動産ADRが担当している

元本カットや金利引き下げでは債務免除益が発生する可能性が高く、具体的な問題解決の糸口が見えてきません。

そこで、この問題の解決に動いているのが不動産ADRという組織です。

この集まりでも、不動産ADRの担当者が登壇し、債務のある個人投資家に対して説明を行いました。

まず、ADRとは何かについてみてみましょう。

ADRとは

日本不動産仲介機構(ADR)を利用した調停による解決案

ADRとはAlternativeDisputeResolutionの略で、裁判外紛争解決手続のことを指します。

当事者間の紛争は、通常は裁判所が最終的な判断を示して解決方法を提示します。

しかし、ADRは当事者間の自由な意志と努力に基づき、問題の解決を目指します。

ADRの特徴は、裁判に比べて早期かつ柔軟に問題の解決を図ることです。

しかし、裁判のように強権的に問題を解決させる制度ではなく、当事者同士が問題の解決のために互いに歩み寄る姿勢が不可欠となっています。

投資家と債務者の当事者どちらかがADRによる解決を拒めば、ADRはそこに介入することはできません。

今回はスルガ銀行が金融庁から解決策の指示を受けており、互いに協力の姿勢を見せています。

そのため、不動産ADRが介入し、投資家との問題解決に向けて動いているのです。

金融庁からの指示にあった仲裁役の組織は金融ADRでした。

しかし、問題が元本カットだけでは済まないことが判明し、そこで、不動産の専門組織である不動産ADRの出番となったのです。

不動産ADRを利用するメリット

メリット

  • 第3者機関の媒介でスムーズに解決
  • 債務者が債権者と直接対峙しなくて済む
  • 問題解決へのコスト圧縮
  • 期限の利益の喪失を免れられる

デメリット

  • 不動産会社、金融機関等と個別解決を行うので時間が掛かる
  • 事業再生プランの作成、報告書作成にコストがかかる

このような点が挙げられています。

不動産ADRは物件ありきで解決を模索する

基本方針として、不動産ADRは人権を犯さない程度の生活環境の維持を目的に、活動を行っています。融資側と投資家、それぞれにある程度の損失は覚悟してもらいながらも、きちんとした収入が毎月得られ、債務の負担によって生活が圧迫されないことを目標としているのです。

そのため、不動産を他に所有している人や、スルガ銀行に債務があったとしても、給与などで十分に収入を確保できる人は、元本カットなどが認められないケースもあります。個々人の属性や状態に合わせた調停案を提示するのが、不動産ADRなのです。

不動産ADRの話によると、現在、ADRでスルガ問題の解決に努めている人は20人ほどということです。ただし、前代未聞とも言える規模の大きさから、2ヶ月ほどの活動期間中に解決に至った投資家は未だにいないということです。

ADRのステップ

不動産ADRでの具体的な解決方法

では、不動産ADRは、具体的にどのような方法で問題を解決していくのでしょうか。

まず、税理士や不動産鑑定士などの各専門家に、それぞれの投資家が所有する不動産の鑑定を依頼し、不動産の運用モデルを作成します。

そして、それぞれの物件に最も適した利用法を見出し、事業再生プランを作成するのです。

その工程においては収益の予測や物件の価値を検証し、今後も継続して所有するのか、それとも、売却を検討するのか、いずれかを判断します。

運用方法としては

  • シェアハウスとしての運用
  • 通常の賃貸としての運用
  • 事業用
  • ゲストハウス
  • 社宅
  • 個別オフィス
  • シェアオフィス

といったものが挙げられています。

通常の売却、もしくは、任意売却も視野に入れられています。

複数の関係者に対して画一的ではなく、個人個人の状況を見ながら解決策を提示するのです。

そこが、不動産ADRの大きなメリットの一つと言えるでしょう。

また、物件の活用法の提示や売却と同時に、スルガ銀行側からの支払いの猶予や金利の引き下げ、返済計画のリスケジュールなどが同時に行われています。

調停手続きの基本的な流れのフロー図

解決の方向は2つに分かれる見通し

現状では問題が完全に解決した投資家はいませんが、解決には二つの方向性が見えています。

まず、1つは投資家の収入や資産状況に応じ、一定の損失を負うことで元本の一部をカットする方法です。

例えば、年収700万円の人であれば100万円、1,000万円であれば400万円など、生活に必要な資金を残し、余剰金をスルガ銀行に支払うことで元本の一部をカットする解決方法です。

また、税金の支払いに関しても免除の余地がないか、現在は模索中です。

支払いに余裕のない人にとっては、一定期間の支払い猶予、金利の引き下げ、リスケジュールといった、毎月の返済負担を極力減らす解決案が提起されています。

また、その他、年収に応じて無理のない返済額を数年かけて行い、売却によって残債が残らない状態にするタイミングを模索していくという方法、捏造前の金融資産をすべてスルガ銀行に譲渡して残債を免除する一方で、不動産取得税などの経費は個人投資家の負担として処理する、などの方法も提示されています。

基本的な方針としては、長期返済計画を前提にした内容であり、解決した場合には債務者と債権者の全員が機密保持契約を結ぶとしています。

そして、物件を活用して発生した利益を中心に、返済に充てます。

一方で、投資家から聞かれた意見の中に、このようなものがありました。

「投資家個人のリスク管理としては、スルガ銀行から高金利で融資を受けることはある程度自己責任として承諾していた。
スルガ銀行より問題視したいのは、間に入った不動産屋である。
物件購入時の不動産屋の説明では、現在満室なので安定した家賃収入が得られると言っていた。
しかし、実際はそんなことはなく、空室もあった。虚偽の内容で不動産を購入させられたので、不動産会社を提訴したい」

このように訴える投資家もいたのです。

この質問に対して不動産ADRは、「ADRによる解決と裁判による解決は別のものであり、不動産ADRは金銭的にメリットのある解決方法を目指している。個人で不動産会社を訴訟することはできるが、不動産会社に金銭的な余裕がない場合、賠償金を取ることは非常に難しい。もちろん、ADRでの解決と不動産会社への訴訟は同時にできるが、不動産会社の人間に責任を取らせたい場合を除き、金銭的なメリットは望みにくい。確実に元本のカットや金利の引き下げを狙える、不動産ADRでの解決に集中した方が良いのではないか」

と述べています。

訴訟では裁判所から判断をもらうことができますが、民事の場合、必ずしも被告側がその内容に従うとは限りません。

損害賠償請求を行っても、訴訟を受けた会社にお金がなければ払われない。

もしくは、ごくわずかな金額を支払い続けるだけで、責任が回避されてしまうことがあるのです。

それに対して不動産ADRは、基本的にはお金を持っている側から回収することで問題の解決を図ります。

気持ちの問題より、具体的かつ金銭的にメリットのある解決法を希望する人向けの組織となっています。

スルガ銀行問題においては、まだ明確なゴールは見えていません。

しかし、着実に不動産ADRによって投資家救済の道が進んでいることは間違いありません。

一方で、不動産の売却などが同時に進められるため、格安なシェアハウスやアパートなどが市場に出回る可能性があります。

そのような物件が出て来た場合、相場よりも格安で購入できるのであれば、不動産会社に物件の出元を確認した上で投資対象とするのも良いかもしれません。

執筆者情報

HowMaマガジン 編集部
「不動産の売却」に役立つ情報を発信するHowMaマガジンの編集部です。売却のノウハウや知識はもちろん、誰でも気軽に不動産の売買相場価格をチェックできるサービス「HowMa(ハウマ)」が算出するデータなどもお届けしていきます。
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