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ECの巨人Amazonがアメリカで不動産業界に進出。その狙いとは?

ECの巨人Amazonがアメリカで不動産業界に進出。その狙いとは?

アメリカの不動産業界にAmazonが参入するというニュースから一月ほどが経ちました。

Amazonは通販サイトをメイン事業としていますが、その豊富な資金力などを背景に今では多数のインフラ事業などにも進出し、人々の生活に欠かせない会社になっています。そのAmazonがアメリカでついに大手不動産仲介会社と提携し、エージェントの紹介サービスを展開します。

GoogleやFacebookとならぶ、いわゆるGAFAの一角でIT界の巨人であるAmazon。そのAmazonが不動産サービスを始めることもあって、各方面で大きな注目を集めています。

しかし、「どんなサービス?」「利用するメリットは?」など、疑問を持っている人も多いことでしょう。

ここでは、7月に発表されたAmazonの不動産サービスの特徴やメリットなどについて紹介しています。まだまだ情報は少ないですが、Amazonや不動産業界に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

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Amazonが参入する不動産業のビジネスモデルとは

まずは、Amazonが開始する不動産事業の内容・仕組みについて見ていきましょう。

GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)と呼ばれるITテックの巨人たちのなかでもGoogleが過去に参入を表明し撤退したこともあり、アメリカ本国のみならず注目を集めています。

具体的にはどのようなサービスをどのような目的で展開していくのか見ていきましょう。

大手不動産会社と提携

2019年7月、Amazonはアメリカの大手不動産会社であるリアロジー・ホールディングスと提携をして「TurnKey(ターンキー)」という名の不動産事業を展開することを発表しました。

提携先であるリアロジー・ホールディングスは、以下のような不動産関連ブランドを傘下に抱える業界大手の会社です。

  • センチュリー21
  • コールドウエルバンカー
  • ベターホームズアンドガーデンズリアルエステート
  • サザビーズインターナショナルリアルティ など

このように、多くのブランドを抱える大手不動産会社と提携することで、Amazonは次のようなサービスを開始します。

仲介エージェントの紹介サービス

Amazonが大手不動産会社と提携して提供するサービスは、不動産購入希望者とエージェントをマッチングさせるものです。つまり、TurnKeyは仲介エージェントの紹介をおこなうマーケットプレイスということになります。

購入希望者はAmazonのeコマースサイト上で集客され、希望条件を入力してTurnKeyに問い合わせをします。すると、提携先のリアロジー・ホールディングスに所属している仲介エージェントの中から、条件に最適な人を選び利用者に紹介をしてくれます。

そして、エージェントから紹介された物件を気に入り、購入した場合は利用者からエージェントに仲介手数料が支払われるのです。リアロジーは、支払われた手数料の中から一部をマージンとしてエージェントから受け取ります。また、TurnKey経由で成約に至った場合は、Amazonもエージェントから紹介手数料を受け取る流れです。

購入希望者が物件を購入した場合に支払う仲介手数料は物件価格の3%程度、エージェントからリアロジー・ホールディングスに支払われるマージンは15%程度が平均、そしてエージェントからAmazonに支払われる紹介手数料は30%程度と言われています。

Amazonは、業界大手リアロジー・ホールディングスと提携することで、多くの手数料収入が見込むことができ、リアロジーやエージェントも、Amazonの抜群の集客力を活用できるため収入増が期待できます。

TurnKeyの利用者としても、AmazonのECサイトの導線上で条件に合うエージェントをマッチングしてもらえ、かつ成約に至った場合には多くの特典(※後述)が得られるため利便性が向上します。

利用者がTurnKeyのサービスを利用する際は、以下の流れで進めます。

  1. AmazonのECサイトなどからTurnKeyへアクセス
  2. TurnKeyで「名前」「電話番号」「メールアドレス」「希望都市」の4つを入力して登録
  3. エージェントの紹介を受ける
  4. エージェントに紹介してもらい不動産探しを開始
  5. 希望の物件を見つけ売買契約を成立
  6. 売買金額に応じて特典を受け取る

Amazon、リアロジー、利用者と、それぞれにメリットのある仲介エージェント紹介サービスです。

このようにAmazonは自分たちの強みである情報の流通という一種のインフラを不動産事業にも生かしていくことで、不動産業界に進出していくことを表明しています。

圧倒的な物流や商品条項、個人の行動属性を判断する材料を持つAmazonだけに、そのノウハウを生かした不動産事業は競合他社への大きな脅威になることが予測されます。

なぜ不動産仲介市場へ参入?

不動産関連の広告に携わることはあっても、これまで直接不動産業界へ参入することのなかったGAFA。

なぜ、今回Amazonは不動産業界大手リアロジー・ホールディングスと手を組み仲介市場へ参入したのでしょうか。

それは、次の狙いがあると考えられています。

大きな収益源の獲得

Amazonが仲介市場に参入する目的の1つと考えられるのが、大きな収益源を獲得することです。「売上2,000億ドルを超える巨人Amazonが収益源?」と思うかもしれませんが、不動産仲介の市場規模は年間100兆円を超える巨大なマーケットです。

多くの有名ブランドを抱える不動産大手リアロジー・ホールディングスと提携し、仲介エージェント紹介事業を展開することで、巨大市場に直接アクセスすることができます。

不動産関連の広告を出して収益を得ることは以前からありましたが、今回のように直接参入することで、より多くの収益確保を実現可能です。また、大手の基盤を利用して手数料ビジネスに徹することで、それほど大きなリスクを負わずに展開できます。

ただし、仲介手数料や紹介手数料、特典金額などを考えると、Amazonが得る利益はそれほど多くないことが考えられます。

今後、手数料や特典金額が変わる可能性はありますが、Amazonとしては最初の段階では次に紹介するユーザー獲得・接点増加による利益獲得をメインに考えている可能性があります。

本業を強化する意味で、不動産という未知の分野とのコラボレーションに活路を新たに見出したと言えます。今回の不動産事業進出はある意味サポートとも言える役回りですが、これまでの新規事業進出でも大きな成果を残してきたAmazonだけに、動向や業績に注目が集まります。

IoT、スマートホームによる収益源の獲得

IoTやスマートホーム関連で収益源を獲得するのを目的としていることも考えられます。後述しますが、TurnKeyで不動産購入に至った場合は、Amazonから価格に応じた特典を受け取ることが可能です。

特典には、EchoシリーズやRing Doorbell Pro、Sonos Beams、eero WiFi、Smart Things hub、Kasa Lightbulbsなどがあり、さまざまなAmazon機器を無料でもらうことができます。セットアップまでしてくれるため、利用者はすぐにEchoやFireTVなどの製品を使って便利な生活を始めることが可能です。

これにより、Amazonのヘビーユーザーだけでなく、あまりAmazonを利用してこなかった人も身近にある機器の多くがAmazonブランドになります。Amazon機器で統一されることで、買い物はAmazonを利用する可能性が高くなりますし、IoTやスマートホーム機器をAmazon以外のものへ変更することに抵抗が生まれるようになります。

Amazon側としては、無料でAmazon機器を提供することになりますが、結果としてAmazonユーザーを増やすことにつながり、安定的な収益源が生まれます。

このような収益源獲得を目的として、不動産業界へ参入していると考えられます。目先の仲介手数料で多くの利益を狙いながらも、利用者がいつでもAmazonと接点を持てる環境をつくり、長期的な成長へとつなげていきます。

通常、不動産業界へ参入するとなった場合、事業の環境整備に多額のコストと時間がかかります。しかし、エージェントを約30万人抱えていると言われるリアロジー・ホールディングスと提携したことで、最初から多くのエージェントを確保でき、コストも一からこれだけの規模を準備するより、安く抑えることができたのではないかと考えられます。

この事業に関しては直接的にAmazonの収益源になります。Iot先進国である米国においては、各家庭のIotインフラをAmazonが担うことで大きな収益を望めるようになるでしょう。

こういったIot技術の住宅への取り組みは国ごとの不動産市場の傾向に左右されにくいだけに、いずれ日本でもこの分野からAmazonが不動産事業に進出してくる可能性もあります。

Amazonで不動産を購入するメリット

Amazonが展開するTurnKeyを利用して、不動産を購入するのにはどのようなメリットがあるのでしょうか。利用者に具体的なメリットがないと、他の類似サービスと差別化するのは難しいものです。

ここでは、利用者がAmazon(TurnKey)で不動産を購入する主なメリットについて見ていきましょう。

不動産価格に応じた特典

利用者は、TurnKeyで不動産を購入すると、不動産価格に応じた特典を受け取ることができます。

不動産価格と提供される特典の金額は以下のとおりです。

  • 不動産価格15万ドル(約1,600万円)〜39万9,000ドル(約4,250万円)の場合
    →1,000ドル(約10万6,000円)相当の特典
  • 不動産価格40万ドル(約4,260万円)〜69万9,000ドル(約7,440万円)の場合
    →2,500ドル(約26万6,000円)相当の特典
  • 不動産価格70万ドル(約7,450万円)以上の場合
    →5,000ドル(約53万2,000円)相当の特典

※1ドル=107円の場合

特典の内容としては、次のようなものが用意されています。

  • Amazon Home Service
    家具の組み立て、ハウスクリーニング、ハンディマンサービス、荷解き、清掃など
  • Amazon Smart Home product
    Amazon Echo Dot、Amazon Echo Show、Fire TV、Ring Doorbell、Smart Things Hubなど
  • Amazon Move
    Amazonの住み替え関連商品が10%OFFなど

このように、TurnKeyのサービスを利用して不動産購入をすれば、利用者はAmazonのサービスや製品の特典を受けられるのがメリットです。

家具の組み立てやハウスクリーニングなどのAmazon Home Serviceは地味に嬉しいサービス内容ですし、EchoやFireTVなどのAmazon Smart Home productは、これからのIoT時代を考えると揃えておきたいものばかりです。Amazon Moveについても、新居で必要なものをお得な価格で購入できるなど、お財布にやさしいメリットです。

消費者にとっての直接的なメリットといえばIot以上に価格面になってきます。この取り組みこそが他社の大きな脅威になりますし、不動産を購入する顧客を取り込むフックになります。

日本でも家電量観点とリフォーム事業の会社がタッグになりこのような取り組みを行っている模様はよく見られます。

ヤマダ電機やエディオンなどはリフォーム、リノベーション事業の数字を伸ばし、TVCMを展開するなど好調な様子が伺えます。こちらも豊富な資金力を持つAmazonが本腰を入れて取り組むことで顧客への訴求力が高いものになることが予測されます。

設備面でもメリットが有る

前述の通り、AmazonのTurnKeyで不動産を購入すると、さまざまなサービス・設備の特典を受けることができます。

スマート玄関ドアチャイムやスマートディスプレー、AIスピーカーなど、多くの設備機器が無料で手に入るのは、ZillowやRealtor.comなどの競合他社との差別化に効果的です。

他社ではAmazonのようなお得な特典を提供していないため、これらの特典があることで、競合他社から乗り換えを検討する利用者が増えることが予想されます。

特典を付けると利益が圧迫されるため、他社としてはできるだけ特典付を導入したくないはずです。

また、Amazonは本業が別にあり多くの収益源があるからこそ利益が圧迫されても特典をばらまくことができます。仲介手数料をメインの収益源としている不動産会社であれば、とても真似できるものではなく、特典で競ってもAmazonの資本力には敵いません。

導入はどう始める予定なのか

業界内外から広く注目されているAmazonのTurnKeyですが、どのように展開されていく予定なのでしょうか。ここでは、TurnKeyの今後の展開予定について見ていきましょう。

まずは主要15都市からスタート

AmazonのTurnKeyサービスは、まずはワシントンDCをはじめとした、アメリカ主要15都市で展開される予定となっています。

そして、これら15都市で順調に展開されれば、アメリカ全土に広がっていくことでしょう。Amazonは顧客の趣味や嗜好情報を掴んでいるため、海外の不動産大手と手を組みアメリカ以外で展開していくことも考えられます。

もしかすると、日本でも展開をして、現在の高い手数料の価格破壊のきっかけとなるかもしれません。

また、Amazonが巨大な不動産市場に参入することで、GoogleやFacebook、Appleなど、他のIT企業も追随する可能性があります。

その場合も大手不動産会社と提携し、Amazonと同じように仲介市場への参入が考えられますが、IT界の巨人たちが相次いで不動産業界へ進出をすれば、業界の構図が一変することも十分ありえます。

まとめ

今回、7月に発表されたAmazonの不動産サービスの特徴やメリットなどについて紹介いたしました。GAFAから、はじめて直接的な不動産業界参入ということもあり、今後の展開も非常に注目されています。

アメリカである程度軌道に乗れば、海外展開となり、先々は日本にも入ってくるかもしれません。

TrunKeyに関して、これからさらに多くの情報が出てくるはずですので、動向に注目しましょう。また、GoogleやFacebook、Appleなどの他のIT大手が、Amazonを追随して不動産業界へ参入するかどうかも注目したいところです。

そしていずれ日本国内への進出もあるかも知れません。本格的な不動産事業のIT化が進むのか。技術のイノベーションに注目していきましょう。

執筆者情報

石野 (HowMaマガジン編集部)
HowMaマガジンの編集部のライターです。自分自身もオーナーとして複数の不動産の賃貸経営中。不動産を所有することで培った経験を知識を活かし、不動産売却や不動産投資について情報を発信していきます。
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