築50年マンションを低コストで再生するリファイニング工事とは【2024年最新版】

東京では新築マンション価格の上昇にもかかわらず、タワーマンション建設も相次いでいます。株式会社不動産経済研究所の全国 新築分譲マンション市場動向 2023 年によると、2023年には新築分譲マンションが首都圏で2 万 6,886 戸(前年比 9.1%減)が販売されました。首都圏の都県別内訳は、東京都 1 万 4,191 戸(前年比 7.9%増)、神奈川県 5,962 戸(同 19.5%減)、埼玉県 3,030 戸(同 35.8%減)、千葉県 3,703 戸(同 13.7%減)です。

日本全国の数は13万3千棟に達すると言われています。しかしその中の2割は現在の耐震性基準が施行される前に建設されたマンションであり、安全性を不安視する声も多くあります。

また築50年を過ぎたマンションは、様々な設備の老朽化も進んでいるために、建て替えを検討しているものの、費用の面でなかなか建て替えの議論が進まないといった側面もあります。

そこで今注目されている技術として、低コストでマンションを耐震化し外観も刷新できるというリファイニング工事があります。
このリファイニング工事とはどんなものか、そしてどんなメリットがあるかについて触れてみたいと思います。

リファイニング工事の概要

従来は、耐震の補強をするためには、鉄骨などの補強をするという方法が主流でした。しかしリファイニング工事は大幅に施工内容を変えています。鉄骨や柱などによる補強は耐震性を向上させるために効果があるものの、いかにも後付で補強したという施行後が目立ってしまい、美観の面で好まれないという欠点がありました。
また費用面や施工期間面でも、建て替えに迫るほどのコストがかさんでしまうこともあり、住人が減ったマンションなどでは耐震補強工事を行いたくても、なかなか行えないという側面もありました。

一方、リファイニング工事では、外観や美観面に影響が出にくいように、コンクリートの中の鉄骨に 薬品を注入し、サビを防いで長寿命化を図るといったことを行っています。このリハビリカプセル工法によって、費用をかけずに耐震性を高めてさらに建物の寿命を延ばすことに成功をしているのです。
施工面では 既存の柱や鉄骨をできるだけ活用しながら不要な部分を全て取り替えることで、コストの削減と工事期間の短期間化を図っています。

リファイニング工事のメリット

リファイニング工事の大きなメリットとしては、まず費用面が新築物件を建てる場合の70%まで抑えられる面が挙げられます。
築年数が経過したマンションは、その住人も年金を受給して生活している世代になっていることが多く、満足な建て替えのための費用が捻出できない場合が多くなります。また鉄骨や柱などによる補強では美観を損ないます。しかしリファイニング工事であれば、美観を損ねることなく、新築同様の外観や躯体にコストを抑えて、仕上げることができるようになるのです。

また施工期間も10階建てのマンションで1年弱程度となっており、従来のマンション建て替えよりも期間が短くなっています。施工期間が短くなっているということは、マンションに住めない機関に代替の住宅に関する費用も軽減できます。

それらの総合的なコスト削減メリットが、リフィアイニング工事では非常に大きくなっているのです。

資産価値を落とさずに再生できる

リフォームは壁紙や床などの交換、リノベーションは間取りの変化などを行い、建物を再生させるという意味では大きな効果を持ちます。ただし建物の価値を再生させるという意味まで考えると、機能面の補強にまでは至らないので、どうしても新築物件と比較すると劣るものになってしまいます。

しかしリファイニングを行った物件の場合は、機能面の向上も図ることができます。現在の新築の物件にも劣らない耐震性や防音、断熱性などを持たせることもでき、またリノベーションと同様に間取りや建物内の設備の交換も行うことができます。

つまり、資産価値自体も新築マンションに近づけることができるので、物件の評価額をアップさせることもできてしまうのです。

現在国が長期優良住宅の建築を、税制優遇などを行って促進しているように、今の日本ではエコの観点で廃材が出ないような住居の建設が求められています。リファイニング工事を行って建物の寿命を伸ばしていけば、新築よりもコストをかけずに新築同様の物件が手に入るだけではなく、 環境配慮の面でも非常に優れているともいえるのです。

現在東京23区内の新築マンションの価格は、天井知らずの上昇傾向にあり、なかなか一般的な収入のサラリーマンでは購入が難しくなっています。また古くなったマンションを売るとしても管理費や積立修繕費がかかる上に、設備が老朽化しているので売却が難しいことも多いのです。
そういった場合の対処法として、リファイニング工事を行って資産価値を高め売却する。またリファイニング工事を前提に築古の物件を新築より安い価格で購入し、住めるようにするという選択肢が今後は増えてくるかもしれません。

まとめ

リファイニング工事は新築よりもコスト面に優れているために、今後はさらに導入事例増えてくる可能性があります。
マンションだけではなく、戸建てやアパートにもリファイニング工事を行うことができるので、物件の老朽化対策家耐震化対策としても、今後は導入をする不動産会社、そして投資家も増えてくるのではないでしょうか。