2016年基準地価から不動産市況を読み解く〜東京版〜

先日、2016年の基準地価が発表されました。

今回は東京版ということで、前回の全国版に続き、基準地価の動向から現在の不動産市況を読み解いていきたいと思います。

地価回復トレンドは継続中!

2016年の東京都の基準地価は、全用途平均で前年と比較して2.5%上昇しました。

上昇は今年で4年連続となり、地価回復トレンドは継続という結果なりました。

特に都心部を中心に商業地の高い伸び率が目立ちました。

これは、訪日外国人客の増加や2020年東京五輪を見据えた再開発などが背景にあると思われます。

今回の調査対象は1268地点におよび、調査地点を変えた33地点を除く比較可能な1235地点のうち、1020地点で前年を上回る結果となりました。

これは東京都内の約83%の地価が上昇したことになります。

不動産を所有している方は資産価値が上昇するのでポジティブな印象を受けると思いますが、これからマイホームなど不動産購入を検討している方からすれば物件価格が予算内に収まるか少し心配する結果となったのではないでしょうか?

ちなみに東京都内の商業地と住宅地それぞれの上昇率トップ5は下記のようになりました。

2016年東京都の地価上昇率トップ5(2015年対比)

〈住宅地〉

千代田区六番町6-1外 +11.3% 363万円/㎡
千代田区三番町9-4 +11.3% 265万円/㎡
千代田区二番町12-10 +10.4% 202万円/㎡
目黒区自由が丘2-18-26 +8.5% 101万円/㎡
港区六本木5-13-1 +7.1% 196万円/㎡

〈商業地〉

中央区銀座6-8-3 +27.1% 2,250万円/㎡
中央区銀座2-6-7 +25.0% 3,300万円/㎡
中央区銀座3-2-9 +20.0% 1,050万円/㎡
中央区銀座7-11-14 +15.7% 590万円/㎡
中央区銀座2-12-14 +15.1% 587万円/㎡

商業地の地価上昇目立つ!東京都も2極化の傾向

まずは住宅地ですが、東京都平均では1.5%の上昇率となりました。

上昇率トップ5の上位3位を独占している千代田区は区平均で10%の上昇率と都内で最も高く、続いて目黒区、中央区などが続いています。

都心部の地価上昇は例年よくみられる傾向ですが、昨今の再開発に伴いタワーマンションの建設が活発に進められたことも要因の1つとして考えられそうです。

一方、多摩地域などの東京都西部の上昇幅は縮小傾向にあるようで、多摩市やあきる野市などではマイナスに転じる地点も見受けられました。

東京都内でも地価の2極化が拡がりつつあるようですね。

次に商業地ですが、こちらは2015年と比較して大幅な上昇率となりました。

東京都平均でも4.1%の上昇を記録しており、都心部の上昇が平均を押し上げるかたちとなっています。

特に中央区銀座の地価上昇が突出しており、上昇率トップ5の全てを占める結果となりました。

銀座に集中した主な要因としては、「2016年基準地価から不動産市況を読み解く」の全国版でも紹介した通り、訪日外国人観光客増加の影響が出ていると考えられます。

現在、銀座周辺では買い物や交通の利便性からホテルの開業が相次いでおり、再開発ラッシュに沸いています。

財閥系不動産会社のみならず、最近は地方の中堅不動産会社や電鉄系不動産会社もホテルの開発に乗り出しています。

まさしく、ホテル建設ブーム到来!といった様相を呈しています。

もう一点注目すべきは、同じ銀座内でも地価の格差が大きいということです。

最大で1㎡あたり約3,000万円の差が出ているケースもあり、一部の地点ではバブル懸念の声も聞かれます。

なお、銀座以外でも訪日外国人観光客の多い新宿エリアや虎ノ門エリアの商業地が上昇率上位にランクインしており、2020年の東京五輪に向けて東京都の地価動向は今後も上昇トレンドが続くと思われます。