2017年公示地価から不動産市況を読み解く①

先日、国土交通省が2017年1月1日時点の公示地価を発表しました。

今回の発表で特に注目を浴びたのが、商業地と住宅地の地価動向です。

全国的に、ここ数年は地価回復の兆しが見え始めてきていましたが、今年は東京都心部を中心に商業地と住宅地の地価上昇が顕著に表れました。

東京のどの地域がどれくらい上昇したのでしょうか?

一緒に見ていきたいと思います。

全国の公示地価は2年連続で上昇中

2017年の全国の公示地価は昨年に引き続き、2年連続で上昇しました。

特に商業地の上昇に力強さが見られ、訪日外国人観光客の増加を映したインバウンド需要によるホテルや商業店舗の進出が地価に表れる形となりました。

また、住宅地においても、2017年はなんと9年ぶりに下落から横ばいとなり、地価の底打ちの兆しが見え始めてきました。

地方の一部では未だ弱さは残るものの、日本全体としてようやく地価下落の長いトンネルを抜け出したような感じがする結果となりました。

ちなみに「公示地価」という言葉を今回初めて知ったという方に公示地価について簡単にご説明したいと思います。

公示地価とは、毎年1月1日時点の全国各地の土地価格について、国土交通省が発表する地価指標のことを言います。

国土交通省より選ばれた不動産鑑定士によって、地価動向を調査するもので、この地価公示は一般の方はもちろんのこと、不動産業者などのプロの方も実務上の不動産取引において参考にしている重要な指標です。

日本政府公認のオフィシャルな土地の価値といったイメージを持って頂ければ分かりやすいかと思います。

商業地の地価上昇は銀座エリアが顕著

ここでは、今年注目された日本全国の商業地の高額地点ランキングを見ていきたいと思います。

<全国商業地の高額地価ランキング>

中央区銀座4-5-6(山野楽器銀座本店) 5,050万円/㎡ +25.9%
中央区銀座5-4-3(対鶴館ビル) 4,300万円/㎡ 前年は対象外地点
中央区銀座2-6-7(明治銀座ビル) 3,700万円/㎡ +28.9%
中央区銀座7-9-19(ZARA) 3,660万円/㎡ +27.1%
千代田区丸の内2-4-1(丸の内ビル) 3,490万円/㎡ +6.4%

ご覧のとおり、商業地の高額地価ランキングの1位~4位は銀座エリアが占める結果となりました。

毎年1位の山野楽器銀座本店を筆頭に銀座エリアは相変わらず地価上昇の勢いが強いです。

なかでも特に注目したいのが、銀座の2016年対比の地価上昇率で、1位~4位すべてが25%以上の上昇となっています。

東京都全体の商業地の上昇率が4.7%ですので、銀座エリアがいかに突出しているかわかるかと思います。

住宅地の地価トップは6年連続で千代田区六番町

続いて、日本全国の住宅地の高額地点ランキングを見ていきたいと思います。

<全国住宅地の高額地価ランキング>

千代田区六番町6-1 375万円/㎡ +7.8%
港区赤坂1-14-11 368万円/㎡ +9.9%
港区白金台3-16-10 310万円/㎡ 前年は対象外地点
千代田区三番町6-25 288万円/㎡ +7.9%
千代田区一番町16-3 281万円/㎡ +7.7%

住宅地の高額地価トップ5も商業地と同様に東京都内の地点で全てを占める結果となりました。

千代田区六番町6-1は今年で6年連続の1位となり、すっかり常連となっています。

商業地も住宅地も1位の地位というのは不動なのでしょうか。

トップ5は全て千代田区、港区といった高級住宅エリアですが、特に千代田区は最近になって、1億円以上のマンション、いわゆる億ションの建設が増えてきたように思います。

千代田区は住宅というよりオフィス街のイメージが強いかと思いますが、ここ数年のマンション開発により居住人口は増加傾向にあるようです。

ちなみに東京都全体の住宅地の上昇率が1.9%となっており、千代田区、港区、中央区の3区は平均で5%以上の上昇を記録しました。

やはり、東京都心部の不動産価値は強いと再確認できる結果となりました。

いかがでしたでしょうか。

今回は商業地、住宅地の全国高額地価ランキングを中心にご紹介してまいりました。

次回は地方都市に焦点を当てて、全国各地の地価動向を探っていきたいと思います。

ご期待ください!