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民法改正による不動産取引への影響

民法改正による不動産取引への影響

先日、民法の改正案が国会で賛成多数により可決されました。

新聞やニュースなどで大きく報道されましたので、既にご存知の方も多いかもしれません。

なんでも今回の民法の改正は120年ぶりとのことで、改正項目は約200に及び、大幅な刷新が行われるようです。

今回はこの民法改正により不動産取引にどのような影響が出るのかご紹介していきます。

実際に施行されるのは数年先とのことですが、予備知識として参考にして頂ければと思います。

連帯保証人が無効になる?

アパートやマンションの部屋を借りる際、貸主と借主の間で賃貸借契約を締結するわけですが、契約書には連帯保証人についての事項が記載されています。

ここでいう連帯保証人とは、借主と同じ責任を負う人のことを指します。

例えば、借主が家賃を数ヶ月滞納したまま夜逃げしてしまった場合、連帯保証人は滞納した家賃を借主の代わりに貸主へ支払わなければなりません。

実際に部屋を賃借したことがある方にとっては、身近な言葉だと思います。

この連帯保証人ですが、今回の民法改正で内容が大きく変更され、一般個人が連帯保証人になる場合は、事前に契約書で保証する上限額の取り決めが必要になります。

これまでの連帯保証人の保証範囲は、借主が滞納した家賃や部屋の損傷や破損の改修費と同額と考えられ、上限は特に設けられていませんでした。

民法改正後は、契約書に「滞納した家賃6ヶ月分まで」や「保証する上限額は50万円まで」などのような記載が必要になります。

ちなみに上記のように保証範囲を定めないで締結してしまった契約の連帯保証人は無効になってしまうようです。

首都圏を中心に最近は個人ではなく、家賃保証会社を連帯保証人にするケースが増えていますが、改正後は更に利用が増えるかもしれません。

敷金が返還されやすくなる?

続いて、敷金についてです。

今回の民法改正で新たに敷金について定義づけがされることになり、原状回復義務についても内容が明文化されることになりました。

入居時に支払う敷金や退去時に支払う原状回復工事費は、私たちの生活でも身近な言葉ですので、詳細な説明は不要かと思いますが、実は敷金という言葉は、今まで民法でしっかりとした定義が存在していませんでした。

改正後は以下のように明文化されることになります。

敷金とは…

「いかなる名義をもってするかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう」

原状回復とは…

「賃借人は賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない」

ただし、こちらについては、あくまで明文化されるだけですので、実態として具体的な大きい影響は無いと思います。

報道などでは、「法改正により敷金が全額返還されることになる」といったニュアンスで紹介されていますが、これは的確な表現ではないので注意が必要です。

一方で、今までどんぶり勘定で原状回復工事費や敷金の精算をしていた不動産会社は、今後しっかりとした説明を借主にしなければならなくなるので、一定の効果はあるかもしれません。

瑕疵担保責任という言葉が消える?

最後は売買取引に影響する瑕疵担保責任についてご紹介します。

瑕疵担保責任については、一般的に馴染みがある言葉では無く、なんだか難しく感じられるかと思います。

この瑕疵担保責任とは、簡単に言うと、「売主が売却した不動産に何かトラブルがあった場合、買主に対して責任を負う」ことです。

詳細は別コラム「瑕疵担保責任とは」をご覧ください。

今回の改正では、この難しい「瑕疵」という言葉が消えることになり、新たに「契約不適合」という言葉が使われることになります。

具体的な内容の変更点は、法律ならではの難しい解釈となるので、かいつまんでご紹介したいと思います。

売主から買主へ不動産の引き渡しがあった後に、その不動産に契約不適合(=合意事項に違反した)が発見された場合、売主は債務不履行責任を負うことになります(今までは瑕疵担保責任を負うとされていました)。

そして、買主は売主に対して債務不履行責任として、契約解除と損害賠償の請求以外に、追完請求(修理や代替物の引渡しなど)と代金減額請求ができるようになります。

これらの内容は少し難しく感じられますが、実は実際の不動産売買取引では、追完請求や代金減額請求と同じ内容が契約書に定められているケースがほとんどです。

なので、今回の改正ではより実態に近くなったんだ、と解釈してもいいと思います。

いかがでしたでしょうか?

不動産に関してもそうですが、不動産以外の分野でも今回の民法改正の特長の1つは、「立場の弱い方を護る」だと感じました。

今回の民法改正の施行は2019年~2020年頃とまだ先の話ですが、将来の不動産取引に役立てて頂ければと思います。

執筆者情報

HowMaマガジン 編集部
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