マンションを売却する理由は何ですか?スムーズな取引のために売却理由を明確にしましょう

マンションを売却する理由は何ですか?

マンションを売却する理由は人それぞれです。
「今より便利な立地にあるマンションへ住み替えたい」、「出産を機に広めのマンションに住み替えたい」などのポジティブな理由から、「急に現金が必要になったので自宅を売却しなければならない」、「離婚したので自宅を売却したい」など他人に知られたくない理由などもあります。

どのような理由にしろ、マンション売却を成功させるには、売却理由を明確にする必要があります。

なぜ、売却理由を明確にしなければならないのか?

今回は、その理由を含め、それぞれの売却理由に応じた売却活動の方法を解説していきたいと思います。
売却活動を成功させるために、ここでの内容をしっかりと理解しておきましょう。

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なぜ売却理由を明確にすることが大切なのか

マンション売却を成功させる上で、売却理由を明確にすることは必須条件です。
その理由は下記の
2点です。

①   マンションの買主は、「あなたが売却する理由」を購入する1つの判断材料とするから。
②   売却理由によって、売却活動の方法が変わってくるから。

では、内容を1つずつ見ていきましょう。

マンションの買主は売却理由を購入の1つの判断材料とする

これは自分自身が買主の立場に立ってみると理解しやすいかと思います。
「自分が購入を検討しているマンションは、なぜ売りに出されているのだろう?」と売却理由を知りたくなるのは、買主として当然だと思います。

マイホームは人生の中でも大きな買い物の1つです。

不動産の売買で失敗したくないのは売主も買主も同じです。
売主が売却理由を隠したり、曖昧に答えてしまうと、買主は購入するのを躊躇してしまいますので、仮に言いにくい理由だとしても正直に伝えることが大切です。
どんな理由であれ、事前に買主へしっかりと説明さえしておけば、後になってトラブルになることはありません。

売却理由によって、売却活動の方法が変わってくる

マンションの売却活動は多種多様です。

ターゲットとする買主の選定や売却価格の決定、売却するまでの期間の設定など、売主の売却理由をベースとして、売却活動の戦略を立てることになります。

例えば、「急に現金が必要になった為に自宅を売却する方」と「親から相続した空き家のマンションを売却する方」では、売却活動の期間や売り出し価格などの売却条件を一緒にすることはありません。

それぞれの売却理由に適した売却方法がありますので、売却活動を依頼する不動産会社へ正直に売却理由を伝えておきましょう。
売却理由を明確にすることで、売却活動を成功させるための土台ができるのです。

ワンポイント解説<直近5年間に自宅を売却した理由ランキング>

1位 就職・転職・転勤          22%
2位 親、配偶者等の世帯からの独立    21%
3位 住宅を広く・部屋を増やす      17%
4位 子育て、教育の環境を整える     17%
5位 通勤、通学等の利便の向上      13%
6位 親、子等と同居・隣居・近居     10%
※公益財団法人不動産流通推進センター 2018年不動産統計集より出典


それぞれの売却理由に適した売却活動

ここからは、それぞれの売却理由に沿った具体的な売却活動の内容に入っていきます。
マンションを売却する理由として多い事例を中心に紹介していきますので、自分がどのケースに当てはまるのか確認してみてください。

自宅マンションの住み替えを理由とした売却活動

上記の「ワンポイント解説」でも紹介しましたが、自宅を売却する理由として、一番多いケースが住み替えです。
最もスタンダードな売却理由と言っていいかもしれません。

ターゲットとする買主の選定

ターゲットとする買主として、先ず、マイホームの購入を検討している一般個人が想定されます。
この場合、売却するマンションの間取りに合った家族構成や、マンションのグレードに合った経済状況の買主へ訴求することになります。

一方で、住み替え時期の都合などで早期に売却しなければならない時は、不動産業者による買取りを選択するという方法もあります。

売却価格の選定

一般個人の買主を想定しているのであれば、「取引事例法」という査定法を使って売却価格を決定します。
取引事例法とは、売却物件と条件が近しい物件の過去の売買事例を参考に物件価格を算出する方法です。
その名前の通り、取引の事例を参考にするやり方です。

具体的には、売却するマンション内の違う部屋や間取りや物件グレードが近しい近隣マンションの売買事例を見て、物件価格を決めることになります。

購入者自らが住む目的で購入する「実需」であれば、マンションの売却価格は、ほぼ全て取引事例法を基準に算出されます。
一方、不動産業者による買取りであれば、買取り価格は取引事例法で算出した価格より、大幅に値引きされた金額になってしまいます。
理由は、マンション価格の算出方法が違うからです。

不動産業者による買取りは、買取り価格と買取り後に転売する価格との利ザヤを計算し、どれくらいの利益が出るかという視点で、買取り価格を算出するのです。
ですので、どうしても買取り価格は相場より低くなってしまうのです。

売却で得た資金を元手に新居を購入する場合は、新たな資金を用意する必要も出てきますので、不動産業者による買取りは慎重に検討しましょう。

売却活動期間の選定

マンションを直ぐに現金化する必要がある場合とは、下記のようなケースが挙げられます。

<離婚>
離婚に伴う慰謝料や養育費の支払いで現金が必要となるケース

<相続>
相続発生に伴う相続税の支払い代償分割の為の資金確保で現金が必要となるケース

<借金>
借金の返済、債務の整理などで現金が必要となるケース

ワンポイント解説<相続税の納税>

相続税の支払いには以下のようなルールがあります。

①  相続が発生(=被相続人が亡くなったのを知った日)してから10ヶ月以内に支払うこと
②  原則、現金一括払いとすること

相続財産の規模によっては、数百万円から数千万円の相続税が発生することもあり、納税期限の10ヶ月以内に現金を用意することは、なかなか難しいのが現実です。
そのような場合、相続税を確保する為に不動産を売却して現金化するケースが多いのです。

ターゲットとする買主の選定

スピーディーにマンションを売却するには、不動産業者による買取りが基本です。
直ぐに現金化する必要があるときは、いつ売れるかわからない一般個人向けの売却活動はお勧めできません。

不動産会社が買主となれば、一般個人間の売買とは違い、売主は「住宅ローン特約による契約解除」や「瑕疵担保責任による解除・損害賠償請求」は免責となります。
これらの特約の免責により、売主は安心して物件から手離れすることができます。

売却価格の選定

売却価格は、マンションを買い取る不動産会社が決めることになります。
買取りの価格は、一般個人向けの価格より下がりますが、現金一括で売却資金を受け取ることができます。

また、不動産買取り業者に直接買取りを依頼することで、仲介会社を通さずに売買取引をすることができ、仲介手数料の支払いが不要となります。
仮に5,000万円のマンションの売買であれば、仲介手数料が156万円掛かりますので、仲介手数料を削減できるのは買取りの1つのメリットです。

売却活動期間の選定

不動産業者による買取りであれば、早ければ、買取りの申込みから決済まで3週間程度で完了します。
繰り返しになりますが、買取りは、直接買主である不動産業者に依頼しますので、個人間の売買のように不動産仲介会社を通す必要がありません。
仲介会社を通さないことで、売主と買主の当事者間で売買取引を進めることができ、時間を短縮することができます。

仲介会社がいないと売買取引が不安だと感じる方もいるかと思いますが、買取りする不動産業者がしっかりと取引のアテンドをしてくれるので、安心して売買取引に臨んでください。

投資用マンションの資産入れ替えを理由とした売却活動

自らが居住するのではなく、投資用として、第三者に賃貸して家賃収入を得る目的のマンションを売却する活動についてです。
不動産業界では、このような投資用不動産を「オーナーチェンジ物件」といいます。

2013年から現在に至るまで、特にオーナーチェンジ物件は活発に取引されています。

ターゲットとする買主の選定

投資用マンションは、実需マンションとは違って収益性を最重視するため、売却価格をシビアに考える必要があります。
なるべく高い価格で売却するには、買主を一般個人(個人の不動産投資家)に絞って売却活動をするのが妥当です。

2013年から始まった日本銀行の金融緩和に加え、相続税法の改正効果も相まって、投資用マンションをはじめとする収益不動産は高値で取引されることが多くなりました。

売却価格の選定

実需マンションの「取引事例法」と違って、投資用マンションの価格は「収益還元法」により算出します。

収益還元法(直接還元法)とは、投資用マンションから生まれる1年間の純収益(家賃収入から経費や税金を引いた金額)を、投資利回りで割り戻して、マンションの価格を算出する方法です。
収益還元法によるマンション価格は下記の計算式によって算出されます。

投資用マンションの価格(5,000万円)=1年間の純収益(500万円)÷投資利回り(10%)

計算式に出てくる「投資利回り」ですが、これはマンションの立地、グレード、築年数、間取り等によって変わってきます。
例えば、東京都心に立地しているマンションの投資利回りは低くなる傾向があります。
逆に地方の過疎化が進んでいる地域では投資利回りは高くなります。
また、その時の不動産市況が好調か不況かによっても投資利回りは変化します。

市況が好調な時は、投資利回りは低くなり、不況の時は、利回りは高くなります。
現在、不動産市況は好調なので、7~8年前と比べると投資利回りは、かなり低下しています。

上記の計算式の通り、「投資利回りの低下=投資用マンション価格の上昇」となるので、昨今の売主は、投資用マンションの売却価格を強気で設定しています。
もしかすると今が絶好の売り時なのかもしれません。

売却活動期間の選定

投資用マンションの売却活動では、売主自身の住み替えは必要ないので、投資戦略に応じた売却期間を考える必要があります。
不動産投資をしている方の大半が、金融機関から融資を受けて不動産を購入しています。

残債の状況や損益分岐点などを加味して、どれくらいの売却期間を設けるか検討することが大切です。

マンション室内の事故・事件を理由とした売却活動

マンション室内で自殺や殺人などの事故・事件が起きてしまった場合の売却活動です。

ターゲットとする買主の選定

不動産業者による買取りが基本です。
一般個人に売却できないことも無いですが、買い手が見つかるまで相当の期間を覚悟する必要があります。

また、事故や事件を理由とする売却の場合は、売却活動中の売主自身の心理的負担も考慮しなければなりません。
意外かもしれませんが、このような事故・事件物件を専門に買取りする不動産業者がありますので、物件の手離れの良さからも買取りによる売却が良いかと思います。

売却価格の選定

不動産業者による買取り価格は、一般個人向けの売却価格より大幅に低くなってしまいますが、事故物件は、そこから更に20%~30%程度ディスカウントされることになります。
事故・事件の内容にもよりますが、事情が事情なので、売主からの買取り価格の交渉の余地はあまり無いと考えておいたほうがよいでしょう。

一般個人向けに売却活動した場合でも、事故・事件を加味した価格で売り出さないと反響すら得られない場合がありますので、売却価格の設定は慎重に行いましょう。

売却活動期間の選定

不動産業者による買取りであれば、申込みから完了までの期間は、通常のマンション買取りと変わりなく、条件の合意さえあれば3週間程度です。

一方、一般個人向けの売却期間は、長期化すると予測できますが、実際は未知数です。
こればかりは実際に売り出してみないとわかりません。


まとめ

ここまで、マンション売却を成功させる上で、なぜ売却理由を明確にすることが大切なのか、その理由とそれぞれの売却理由に適した売却方法を解説してきました。

おさらいとして、今回の内容を簡潔にまとめましたので、再度確認しておきましょう。

なぜ売却理由を明確にすることが大切なのか

→①マンションの買主は、「あなたが売却する理由」を購入する1つの判断材料とするから。
売却理由によって、売却活動の方法が変わってくるから。

自宅マンションの住み替えを理由とした売却活動

→ターゲットとする買主は一般個人が基本。売却を急ぐのであれば、不動産業者による買取りもあるが、相場より安く買い叩かれる可能性大。
 売却価格は「取引事例法」を基準に決定。
売却期間は、住み替え先が賃貸であれば、先に引っ越しして、納得のいくまで売却活動を続けるのが良い。
 購入による住み替えであれば、購入先の決済時期を見極めつつ、状況によっては値下げしてでも早期に売却するのが良い。
買い替え特約によりリスクヘッジしておくのも一手。

直ぐに現金化する必要がある場合の売却活動

不動産業者による買取りが基本。
売却価格は大幅に安くなるが、短期間で取引が完了し、売買代金も現金一括で受け取れる
また、一般個人の買主と比べて契約解除のリスクが少ないため、現金を短期間に確実に得るには最適の方法と言える。
ただし、不動産会社から提示される買取り価格が相場とあまりにも乖離しているときは、必ず価格交渉すること。

投資用マンションの資産入れ替えを理由とした売却活動

→ターゲットとする買主は一般個人(個人の不動産投資家)が基本。
売却価格は「収益還元法」を基準に決定。売却期間は、投資戦略に基づき検討する。
投資用マンションを売却するタイミングは、投資利回りが低くなる好況の時がベスト

マンション室内の事故・事件を理由とした売却活動

不動産業者による買取りが基本。
相場より大幅に低い売却価格となるが、短期間に現金一括で売却できる。
一般個人向けに売却できないこともないが、売却価格、売却期間がどれくらいになるかは未知数の為、無難に不動産業者による買取りが妥当。

>不動産会社に騙されないために。多くの不動産会社に売却依頼ができる特許取得の最新サービスとは?